トカラの子授け神、ボゼ

ボゼのご利益

トカラの有人島では南から三番目に位置する悪石島。

この島は別名「美女とネズミと神々の島」と呼ばれている。

その神々の島の象徴的存在なのが、仮面神ボゼである。

トカラの盆行事は旧暦の7月頃まで行われている。

ボゼはその盆行事の締めくくりとして出てくる神であり、足にはシュロの皮、ビロウの葉を前身に纏い、赤土と墨で塗られた仮面を被る。

手には男性性器を模ったマラ棒と呼ばれる木の棒に赤土をつけ、女子どもを追い回し赤土をつけていく。

10分~15分ほど追い掛け回した後、太鼓のリズムを合図に広場の中央に集まり踊り始め、踊り終わると子どもを追いかけながらその場を退場し森に帰っていく。

ボゼに赤土をつけられた人は悪魔祓いの利益を授け、また土をつけられたのが女性なら、子宝に恵まれるという説がある。

確かにマラ棒が模っている男性性器からは子どもの元となる精液が出るわけだから、女性に精液を模った赤土がつけば妊娠するという説はあながち間違いではないように思う。

現在ボゼが現れるのは悪石島のみだけだが、昔はトカラの中心、中之島にもあったようだ。

島に集まる神々

トカラ各島で悪石島は神々の集まる島だと言われてきた。

悪石という名前も近寄ってはならない神聖な島という意味が込められていると解釈する人もいる。

一時期、悪石という名前の聞こえが悪いから、亜久石島や亜久島に島名を変更しようと盛り上がった時期もあった。

しかし、島名を変更すると世界地図を書き換えるやっかいな事になるという意見があがり、立ち消えになった。

日本はおろか、トカラのある鹿児島県民でさえ知らない人が多いトカラ。

縮尺の大きい地図でないとただの点でしか描かれる事のないトカラ。

そのトカラでこういう意見が上がって計画が消滅するのは奇妙だと言わざるを得ない。

これは悪石島に集まる神々が、島名変更を阻止するために行った策略であろうか。